in the twilight of Asia
 
 
第 十 三 日 目 <バゴー → ヤンゴン>

今日は前日の疲れもあって思いっきり寝坊した。昼過ぎに飯を食い、やっとこさホテルを出て、バゴーの中心にあるマーケットを散策した。ヤンゴンのアウンサウンマーケットより田舎臭くて、品物も生活に則した、ありとあらゆる物が、食材も豊富で、なんだか分からない食べ物があふれんばかりに並んでいて、結構飽きが来ない。俺は御土産にと、ひたすらミャンマー軍関係の放出品を扱った店をチェックして、良い感じの肩掛けバッグを購入した。 

そんな感じで市場をぶらぶらしていると、ふと日本語で話し掛けてくるミャンマー人が、彼の名前はトントンと言い、親父が日本語教師で、自分も父に習って日本語を勉強中だと、今日は休日で、よければ日本語の話し相手になって欲しいと、本当にこの手の人には縁があるのだが、俺もつい気を許してしまう。でも彼には買い物の手伝いをしてもらったり、いろいろ珍しい物を教えてもらったり、バラバリ地元の定食屋に連れていってもらって、地元の人達と彼の通訳で結構楽しく話しをする事が出来た。最後に彼に送ってもらってバゴー駅へ行ってヤンゴン行きの切符を買った。バスだとヤンゴンまで300Kなのに、電車だとなんと2$、普通は電車の方が安いはずなのに、、、トントンいわく、ミャンマー人は60kで乗れるとの事、なんと外国人は10倍も払わされるのである。ミャンマー政府め、めちゃくちゃぼってやがる!しかも列車の席まで一緒、前から思っていたが、ちょっと屈折してるなあと思った。でもトントンいわく、アーミーは世の中ですごく幅をきかせているけど、逆に治安はとても良いと、でも自由に商売が出来なくて皆金を稼ぐのに苦労していると。日本人は世界の中で恵まれてるなあ、とふと思い知らされた瞬間であった。

電車が到着して、トントンとはお別れ、彼には本当に良くしてもらった。これは余りにも悪いと思った所、最後にビール代ぐらいくれないかと言ってきた。70K、うーんまあこのくらいなら、本当はもっとあげようかと思ったくらいだった。でも後々考えるとあげすぎだったかも、、、なんせ彼の給料は一月1000k。でも彼とは別れがたかったなあ。

そんなトコロデ、電車が遅れに遅れ、17時40分バゴー発車、そしてゆっくりと田畑の中を進む列車。ちょうど日没の時間と重なり、夕日に浮かぶ田園風景、ぼーっと窓から外を眺める。電車は殆ど日本の戦前に走っていたような年代物。車内に風邪が吹き込まないとトイレの匂いがプーンと漂ってくる。日が暮れると電車の中も外も真っ暗。でも車窓から脇に広がる田んぼの上には蛍がキラキラ。2時間の旅もあっという間。

8時にやっとこさ懐かしのヤンゴンへ、またTokyo Guest Houseに泊まる。俺の事を覚えていて、今日は客は君一人だから、特別に5$で良いよと言われた。うれしいけど宿に一人はかなりサビイーゾー。

早速ミャンマー最後の夜を散策、そしてなんとデパート発見!ミャンマーにあるまじきエスカレーター付きの、3階建ての立派なデパート。店内の品揃えも良く、ヤンゴンっ子でごった返す。意外な光景だが、この国も少しずつ変わってゆくんだなあと感無量!町中を歩いていると、夜中でも市内は屋台とかで賑わっている。俺はどうしても焼き鳥が目に付き、つい買ってしまった。物によるが、25kから売っていて、めちゃくちゃ油っこいが、濃いタレが塗ってあっていいお味。あと一口焼き鳥?と呼べばいいのか、串の先端に小さな肉が付いていて、目の前の油の中に入れて、辛いタレで食うのだが、鳥の皮とか、ハツとかがあって、一本5K、10Kなので結構楽しめる。飯が欲しくなる味だ。そのあとフルーツ屋台で一串フルーツを食べたり、本当の天然ラッシーを飲んだりして、ミャンマー最後の夜を満喫したのであった。

第 十 四 日 目 <ヤンゴン → バンコク>

朝六時過ぎ、宿を出て、宿の前からタクシー(400K)で一路空港へ、早朝の人通りの少ないヤンゴン市内を順調に走り、過ぎ行く町並みを眺めつつ、40分程で、ヤンゴン国際空港へ到着。懸念されたイミグレーションもあっけなく通過、定刻どうり、7時30分、ミャンマーエアラインは一路バンコクへ、、、

今振り返ると、短い旅だった。

残された国、ミャンマー。人々は貧しく、国の圧政に苦しんでいる。でもそんな様子は尾首にも出さず、みんな笑顔でせっせと働き、パヤーにお祈りしている。

まだ”旅”が出来る数少ない国、ミャンマー。強制両替、外国人料金と旅行者には悪いイメージが多いが、ここには訪れた人にもわからない何かが、まだたくさん残っている! しかしそれも少しずつ失われているのが良くわかる。でも、パヤーは、何十年、何百年経っても今と変わらぬたたずまいを残しているだろう。まさに、アジアの黄昏であった。

あなたにもし訪れるチャンスがあったら、ぜひ一度、訪れて欲しい。出来ればその魅力が失われないうちに。

なーんて事をバンコクの空港で書いてます。何しろトランジットが9時間!!今やっと残り1時間。もうすぐ日本。やっぱり日本が一番かな。

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ミャンマー徒然に
アジアの黄昏
 
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